新型肺炎によるイノベーションビジネスへの影響

松永昌之 - Dr Masashi Matsunaga, Senior Consultant, Oxentia




大小に関係なく、ビジネスにとって最も大事な要素は人と人とのつながりであるが、新型肺炎の影響により、人々の交流が大幅に制限されている。テレワークなどを活用したリモート環境での電話会議やビデオ会議等が積極的に導入されているが、対面(1-on-1)に勝るコミュニケーション方法は存在しないという基本的なことを改めて実感している。ビデオ会議の品質も数年前と比較すれば格段に向上しているものの、何となく会話のリズムがつかみにくかったり、自分が発表している際の相手の表情が読み取れなく、意図が伝わっているか不安になることも多い。直接の協議に参加していない第三者の表情を読み取ったり、誰が意思決定者なのかを直観的に判断する能力もビデオ会議ではなかなか発揮しづらい。


特に初対面の場合や、母国語以外の言語を用いたビジネス交渉を行う場合は特に深刻である。私は外部採用を中心としたオープンイノベーションをリードする企業担当者の方や、優れた技術のライセンスアウトやパートナー探しを行うベンチャー企業の担当者と多く接する機会があるが、いずれも今回の人的移動に関する制限は、かなりの不安材料となる旨伺っている。


こうした状況下において、助けとなる存在はツールではなく、やはり人であり、適切な「人」が間に入ることにより、コミュニケーション不足・理解不足が解消され、スムーズな意見交換が可能となる。「人間」という言葉は実にうまく考えられている。

いわゆるFacilitatorの存在が今後とも重要となるだろう。私が所属するOxentiaは、多くのFacilitatorから構成されるコンサルタント集団でもある。Oxentiaチームの実に95%が、PhDもしくはMBA(または両方)を所有し、ビジネス言語と技術用語の両方を理解できる多国籍チームが、ビジネスを紹介したい側と導入したい側の間に立ち、スムーズな交渉をリードする。


海外出張が制限され、学会や展示会も軒並み中止となる昨今、直接的に新たなビジネスパートナーを的確に発掘することが困難となっている。私たちの経験と知識・人脈がこれらの状況を少しでも解決する一助となれればと願っている。人と人を結ぶのはツールやシステムではなく、あくまで人であると信じたい。